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2011 年06 月21 日

Q: 夫と離婚したいのですが、二度と顔を見たくないし、裁判所にも行きたくありません。全ての手続をお任せできますか?

A: 調停で離婚を成立させるにしろ、訴訟になって和解という形で離婚を成立させるにしろ、家事事件(人事訴訟事件)においては、御本人の意思を明確に確認されることとなります。調停でも訴訟上の和解でも、DVが問題となっているような案件等では、当事者双方が顔を合わせないよう一定の配慮がなされることがあります。それゆえ、最後まで顔を合わせないで済む可能性はあります。しかし、途中の期日はまだしも、調停や和解を成立させる期日における御本人の出頭自体は必須と考えられています。これは、調停や和解においては、その場で離婚が成立するのであり、離婚届の提出は事後的な報告に過ぎないこと、すなわち、裁判所における手続の成立イコール離婚であることから、本人の意思を厳格に確認する必要性からの帰結です。
 これに対し、調停や和解において、離婚を成立させる合意をするのではなく、協議離婚をすることを合意する場合(すなわち、離婚届を提出することを合意する場合)には、裁判所によっては、本人の出頭なくして代理人だけで成立させることを許容することはあります。この場合は、調停(和解)成立イコール離婚成立ではないからです。但し、この場合、離婚届が実際には提出されないようなこととなっても、裁判所に対して何ら強制的な執行を求めることはできません。それゆえ、離婚届不受理届が提出されているような場合には目も当てられません。
 なお、裁判をして判決で離婚する場合ですが、相手方が行方不明等の事情で出頭できなかったり、あるいは、通常の呼び出しを掛けても出頭しないような場合であるなら、相手方の顔を見ることなく判決を得られることにもなりましょうが、原告側としては、本人尋問を受けていただきますので、裁判所への出頭は、やはり最低でも一回は必要となりましょう。それ以外の通常の場合であれば、当事者双方への尋問を同じ期日に行うのが通常ですので、相手方の顔を見る必要があり、かつ、裁判所への出頭も必要となります。

投稿者:よしの たいら
at 18 :33| 離婚−手続の流れ | コメント(0 )

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